債務整理の方法

 任意整理 

任意整理とは、取引開始時の利息が利息制限法で定められている制限利率を超える場合には、利息制限法で定められている制限利率(15%~20%)で計算し直し、原則として利息をカットし、元本のみ3年程度(36回程度)の分割で返済することを内容とした和解を貸金業者との間で合意し、その和解内容に従って返済を続ける手続です。

※取引開始時の利息が利息制限法で定められている制限利率の上限を超えていない場合、借入額は減額されません。ただし、利息のカットなどが見込める場合があります。

※利息(未払利息、将来利息、遅延損害金)のカットができるかどうかや、分割返済期間、1回の返済金額は、貸金業者との和解内容によります。貸金業者によっては、将来の利息や遅延損害金の返済をしなければいけないケースや、返済期間が3年未満となる場合もあります。

 

任意整理を利用される方の特徴
▪継続した収入を得られる見込みのある方
▪毎月の家計に返済する余力のある方(家計を見直すことにより返済する余力が見込まれる方も含みます。)
▪自動車を手放したくない方

 

 自己破産 

自己破産とは、任意整理や小規模個人再生など借金を返済方法による債務整理が困難な方が、借金返済の見込みがないこと(支払不能状態であること)を裁判所に認めてもらうことにより、法的な借金の支払義務が免除される手続です。

自己破産手続を行うことにより、法的な借金の支払義務がなくなるため、借金の返済に追われることなく、生活の再建をすることができるようになります。

※借入理由・借入方法・借入金の使い方などの事情によっては、借金の支払義務が免除されない場合があります。債務整理の方法として自己破産をおこなうべきかどうかは、個々の具体的ご事情により異なります。ご相談時に具体的ご事情をお伺いした上で、最適な債務整理の方法を弁護士から提案させて頂きます。

※自己破産手続きによっても支払義務が免除されない債務(例:養育費・税金など)があります。

※破産手続きには、同時廃止という手続と管財事件という手続きの2つの手続きがあります。ご事情によりどちらの手続きで進めるべきかを提案させて頂きます。管財事件により進めさせて頂く場合、弁護士費用とは別に裁判所に納める費用(予納金)として最低20万円が必要になります。

自己破産の利用される方の特徴
▪自分の収入では返済が出来なくなってしまった方
▪所有不動産はすでに競売又は任意売却されて手放しているが、住宅ローン残債務だけが残ってしまった方
▪突然の病気により借金の返済が出来なくなってしまった方

 

 小規模個人再生 

小規模個人再生とは、全債権者に対する返済総額を少なくし、その少なくなった後の金額を原則として3年の分割払いによる返済計画を立て、債権者の意見を聞いたうえで、裁判所が返済計画を認めた場合には、返済計画どおりに返済することによって、残りの債務の支払義務が免除される手続きです。

※債務総額が5000万円以下の場合に利用できる手続きです。

※小規模個人再生によっても支払義務が免除されない債務(例:養育費・税金など)があります。

※小規模個人再生では、借金などの総額に応じて、債権者に対し最低限弁済しなければならない金額(最低弁済額)が決められています。

債務額 最低弁済額
100万円未満 総額全部
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 債務総額の5分の1
1500万円以上3000万円未満 300万円
3000万円以上5000万円以下 債務総額の10分の1

※債権者から同意が得られない場合には、手続きができない場合があります。

小規模個人再生の利用される方の特徴
▪住宅ローンの支払いがある自宅不動産を残したい方
▪継続して安定した収入を得られる見込みのある方
▪自己破産における免責不許可事由のある方

 

 過払金返還請求 

過払金返還請求とは、利息制限法で定められている制限利率を超える利率でのお取引をされていた場合に、利息制限法所定の制限利率で計算をし直した結果、払いすぎた金銭があればその金銭を取り戻す手続きとなります。

平成20年(2008年)よりも前から、消費者金融(アイフル・アコム・プロミス・CFJなど)・クレジットカードのキャッシング(エポス・オリコ・アプラス・クレディセゾン・ポケットカードなど)を利用していた方は、過払金が発生している可能性があります。

現在は利息制限法で定められている制限利率となっていても、過去の取引において制限利率を超える取引が行われていたということも多くあります。そのため、現在の利率ではなく、取引期間全体の利率を確認する必要があります。

 

現在も借金の返済を続けている方の場合

借金を減らす又は無くすことができる可能性があります。

※現在も借金の返済を続けている方の場合、任意整理でのご契約となります。

すでに借金の返済が終わっている方の場合

払いすぎた金銭を取り戻すことができる可能性があります。

※すでに借金の返済が終わっている方の場合には、過払金返還請求事件でのご契約となります。

※過払金の発生は、取引内容(取引開始時期・取引開始時の利率・取引途中での利率の変更・取引期間・取引金額・途中完済など)により異なります。そのため、弁護士による調査の結果、過払金が発生していないという場合もございます。

※過払金返還請求権(不当利得返還請求権)には消滅時効があります。最終取引日から10年を経過している場合には請求できない可能性があります。